MENU

フリードHV(GB7)の「今何速?」をOBDログから割り出す方法!range codeと変速比で裏取りする手順

当ページのリンクには広告が含まれています。

どうもこんにちは!まろんです!

今日はFREED HYBRID(GB7)の「今、何速で走ってるんだろう?」を、OBDログから割り出す方法について解説していこうと思います!

実は少し前に「なんで60km/hだとEVにならないの問題」を3年越しで調べた記事を書いたのですが、その調査でいちばん手こずったのが「そもそも今、何速に入っているのか」をどう確認するかでした。皆さんはOBDでログを取っていて、「速度とエンジン回転数は分かるのに、肝心のギア段が出てこない…」と困ったことないでしょうか?私はまさにそこで足止めを食らいました。

今回はその「詰まった部分」だけを切り出して、手順としてまとめ直します。前作が「調べて分かった結論」だとすると、この記事は「どうやって調べたか」のやり方編です。

目次

そもそもOBDで「今何速か」は直接読めるの?

先に結論から言うと、フリードHV(GB7)にはギア段を直接返してくれる標準PIDが、少なくとも公式資料の範囲では見当たりません。

OBD2の標準規格(SAE J1979/ISO15031-5)には、エンジン回転数(PID $0C・計算式は(256×A+B)/4=rpm)や車速(PID $0D・A=km/h)は定義されています。ですがギア段を返すPIDは、この基本仕様の使用例には含まれていませんでした(ELM327公式データシート、2026/08/07現在)。

「SAE規格の後年の改訂で、ギア段に近いPIDが追加された」という情報をネットで見かけることもありますが、これは非公式な情報にとどまります。ELM327の公式データシートの使用例にも、このPIDへの言及はありませんでした。少なくともうちが確認できた範囲では裏が取れていません。

実際、うちの2023年のログ(121本)を見返してみたところ、「トランスミッションの実際のギアステータス」「トランスミッション実ギア比」という、いかにもそれっぽい名前のPIDが1件だけ見つかりました。ただし出現したのは121本中1本(0.826%)、しかも一番最初の一括プローブ的なログだけで、値も1.0〜300.0とバラついていて、ギア1〜7に対応するような値ではありませんでした(自分のログの記録)。継続して記録できるPIDではなかった、ということです。

フリードHV(GB7)の7速DCT、変速比はこれ

そこで頼りになるのが「range code」です。うちのCarScannerのログには、この名前でギア段の生データらしき値が記録されていました。この値が本当にギア段を表しているかどうかは、このあと手順を追って裏取りします。

裏取りの基準になる、フリードHV(GB7)の公式な変速比を先に置いておきます。

ギア変速比
1速4.192
2速2.266
3速1.642
4速1.118
5速0.810
6速0.616
7速0.446
後退3.335

出典: Honda公式サイト フリード主要諸元表(型式DAA-GB7)、2026/08/07現在。

SPORT HYBRID i-DCDは、奇数段用と偶数段用の2系統のギアセット・クラッチを持つ7速DCTです。2つのクラッチを交互に切り替えて変速し、モーターはトランスミッションケースに内蔵されています(Honda公式サイト「テクノロジー」i-DCD解説ページ、2026/08/07現在)。

EV走行,減速回生は奇数段ギヤを介してのみおこなわれる

Honda R&D Technical Review Vol.26 No.1(J-STAGEで全文公開)、2026年8月1日確認

この「奇数段でしか成立しない」という設計が、そのままギア段特定のヒントになります。奇数段・偶数段で挙動がはっきり分かれるので、range codeの値がこの並びと一致していれば、ちゃんとギア段を表していると判断できるわけです。

実際にやってみた手順:range codeから「今何速か」を突き止める

ステップ1:CarScannerで記録する項目を選ぶ

まず記録しておきたいのは、車速・エンジン回転数に加えて、ギア段の手がかりになりそうな値です。前述のとおり標準PIDには含まれていないので、CarScannerでは車種固有のデータを扱うカスタムPID機能や、対応車種向けに用意された拡張センサーの中から探すことになります(CarScanner公式 カスタムPID解説ページ、2026/08/07現在)。

うちのログでは「range code」という名前でこの値が記録されていましたが、車種やアプリのバージョンによって出てくる項目名は変わる可能性があります。まず自分のログにあるPID一覧を眺めて、走行中に段階的に値が変化していそうな項目を探すのが近道です。

車両・OBDアダプタの組み合わせによっては、通信不具合や警告灯点灯の原因になることがあります。接続は自己責任で行い、心配な場合は事前にディーラーへ確認してください。ディーラー保証・メーカー保証の扱いが変わるケースもあるようです。

ステップ2:CSVで変速比を計算する

CSVの読み込み方や下処理の基本は、以前書いたCar ScannerProのデータをグラフ化する記事で解説しているので、この記事では再解説せず計算の考え方に絞ります。

やることはシンプルです。

  • range codeの値ごとにサンプルをグループ分けする
  • 各サンプルで「エンジン回転数÷車速」の比を計算する
  • グループごとに代表値(中央値など)を出す

終減速比やタイヤの直径はどのギアでも共通なので、比の絶対値がぴったり公称値と一致しなくても、グループ同士の並び方・間隔が公称の変速比表と同じ形になっていれば、range codeは実際のギア段を表していると考えられます。

ステップ3:公称変速比と突き合わせて裏取りする

実際にこの手順で計算したところ、range codeごとの速度/回転数比は、公称の変速比と相対誤差の絶対値の平均0.9%で一致しました(計算による推測・1速=code1だけはサンプル数が足りず未確認のまま)。他のギアはきれいに対応していたので、うちのログでは「ちゃんとギア段として読めているデータ」と判断しています(EVならない病を調べた記事より)。

range codeごとの速度/回転数比と公称変速比を比較した検証グラフ。相対誤差の絶対値の平均は0.9%で一致
うちのFREEDで実際に計算してみたグラフです。range codeごとの速度/回転数比を、公称の変速比表と並べてみました。ズレは相対誤差の絶対値の平均で0.9%。1速(code1)だけはサンプル不足でまだ未確認です。

この方法の限界・向かない場合

  • 「range code」という呼び方・値そのものは公式文書で確認できておらず、うちの車・うちのログでの呼称です。他の車種で同じ列名が出るとは限りません
  • 1速(code1)はサンプル数が足りず、裏取りできていません
  • 終減速比やタイヤ径を使った絶対値の検証はしておらず、あくまで並び方・間隔の一致による相対的な裏取りです
  • 1台・1経路の観察データです。年式やグレード、個体差までは考慮できていません

自分でも試してみたい人へ

自分の車の「今何速か」をOBDログで確認してみたい人向けに、うちが使っているアダプタを紹介しておきます。CSVの読み込み方や環境構築は別記事で詳しく書いています。

車両・アダプタの組み合わせによっては不具合の原因になることもあるので、接続は自己責任で。心配な場合はディーラー・メーカー保証の扱いを事前に確認してから試してください。

ScanTool OBDLink MX+(Bluetooth OBD2アダプタ・iOS対応)

この記事の裏取りに使ったログも、これで記録しています。

Amazonで見る

よくある質問

Q1. この方法は他の車種でも使えますか?

標準的なOBD2のエンジン回転数・車速PIDは多くの車種で共通ですが、ギア段の手がかりになる値(うちで言う「range code」)は車種・年式・ECUによって有無や形式が変わります。まずは自分のログにあるPID一覧を確認するところから始めてみてください。

Q2. range codeって公式に決まったPID名なんですか?

いいえ。少なくともうちが確認できた公式資料の範囲では、対応するPID番号を確認できていません。CarScannerが車種固有の情報として提供している値、という理解にとどめています。

Q3. OBDアダプタは何を使えばいいですか?

うちはScanTool OBDLink MX+をCarScannerと組み合わせて使っています。iPhoneで使うなら「MX+」を選ぶのがポイントで、下位モデルはiOS非対応とメーカー公式サイトに明記されています。

Q4. なぜ変速比の計算に誤差が出るんですか?0.9%は精度として十分ですか?

DCTの変速比自体は機械的な値なので理論上は誤差ゼロに近いはずですが、実際のログには回転数・車速それぞれのサンプリング誤差や、変速中の過渡状態のデータ混入が乗ります。0.9%という誤差は、range codeがギア段をかなり正確に表している目安として十分だとうちでは判断しています。

Q5. ギア段が分かると何がうれしいんですか?

「60km/hでEVにならない」問題を調べた記事では、range codeでギア段を特定できたからこそ「6速にいる間だけEVにならない」というところまで踏み込めました。ギア段が分かると、変速のクセや燃費とギアの関係など、体感だけでは見えない部分をログで確認できるようになります。

関連する記事はこちらもどうぞ!

まとめ

フリードHV(GB7)には、ギア段を直接返す標準OBD2 PIDが見当たりません。うちではCarScannerのログにあった「range code」という値を、公称の変速比表と突き合わせて裏取りしました(相対誤差の絶対値の平均0.9%)。

  • 分かったこと:標準PIDにはギア段が無く、車種固有の値を探す必要がある
  • 裏取りの方法:range codeごとに速度/回転数比をとり、公称の変速比表と並び方を比較する
  • 限界:1速はサンプル不足で未確認。他車種への一般化もできない

この手法があったからこそ、「60km/hでEVにならない」調査で「6速に居座っている」というところまで踏み込めました。自分の車で「今何速か」を確認したい方の参考になれば嬉しいです!

というわけで、今回は手法解説回でした!次はこのrange codeを使って、また別の角度からログを掘ってみようと思います。では今回はこの程度で〜!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

どうもこんにちは!marronです!看護大を卒後、地域病院で8年勤め2023年は二人目の娘に恵まれ現在育休中。育休を機にブログ再開。趣味のカメラやPC関連の研究ができたらいいなーと思っております。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次